2016年4月26日火曜日

地上権

土地の競売又は公売で、土地上に建物が存在する場合がある。この場合、建物が土地を占有する為に、土地の評価額が低廉になり、市場価格と乖離する。占有権原として、概ね、不法占有、使用貸借、賃貸借、地上権が考えられる。土地を更地に回復することを想定した評価額と建物残置を想定した評価額との差額が含み利益となり得る。大抵は、この占有の問題を解決することが困難と思い込み、入札が少なくなることが低い評価額の原因となる。一般論として、登記された建物を有する使用貸借ならば建物収去明渡しを求めて建物所有者から建物所有権を取得するか買い受け、登記された建物を有する賃貸借ならば賃貸借契約を承継し、賃料増額請求を検討する。同一所有者が土地建物に抵当権を設定して土地だけが不動産競売に付された場合は法定地上権が成立することをを原則として入札する。法定地上権が成立する場合、落札後に地上権の地代等を協議して地上権負担を承継する。この協議において、地上権付き建物を買い取る方向での解決を図り、協議が整わない場合は地代確定請求をする。地上権の内容は、概ね、所有権取得後30年間固定資産税都市計画税の4倍程度の地代を支払うという裁判例が多いと思われるので、そのような請求を趣旨とする裁判をすれば良い。相場感は確定しており、雛形もあるので訴状作成は司法書士か自信で検索して対応できる。費用は若干の印紙と鑑定費用50万円前後であろうが、相場感は確定しており和解になる場合も多く、鑑定費用を避けることも可能な場合がある。弁護士に依頼すると双方に100万円前後の費用が掛かると思われるので、争いに乏しく費用対効果が見込めない以上、本人で訴状を出されるのが穏当となる。土地建物に抵当権が設定されているのに、土地だけが不動産競売に付される場合、建物も競売に付せば土地はより高く評価されたであろうが、土地だけが不動産競売となっている場合の意図は、恐らく土地を法定地上権付き評価で廉価に自己落札後、残債権があれば建物を買い取るか改めて競売に付す、その過程で地代を確定するなど、ではないかと思われる。建物の評価において地代の額が低ければ高く、高ければ低いという相反に影響すると思われるので、後に、建物の競売に参加する場合には、地代の額を合意されないかを注意する必要があるかも知れない。年間地代は固定資産税評価額の7パーセント前後で、低利と思われるが、土地上建物が存続する限り発生する点で安定利回りになるかもしれない。2年以上の不払いがあれば地上権の消滅も考えられる。

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